こんにちは!さくやまです。
今日は、私が社会人なりたての頃である6~7年くらい前に聞いた、すごく印象的な出来事についてお話しします。
今では当たり前になった「テレワーク」。
みなさんの会社では、取り入れられていますか?
そして、それが当たり前ではなかった頃のこと、覚えていますか?
私が新入社員だった頃のお話
私は新卒で、国内でも超のつく大企業グループの会社に就職しました。
ITベンチャーとは真逆の、昭和の雰囲気が残る大企業です。
若手が部署の飲み会を手配したり、お酌をしたり…が当たり前。
今では考えられない…!
そんな企業なので、当時の働き方ももちろん昭和。
と思いきや、さすが大企業。あらゆる制度はきちんと整っていました。
コロナ禍で急速に広まったテレワークも、当時(6~7年前)から導入されていたのです。
ですが、もちろん実施している社員はかなり少数派。
少数派どころか、何千人いる社員のうちのほんの数人が試験的に行っている、という感じでした。
ある日、様々な働き方を考えるセミナーが人事部主催で開催され、在宅勤務をしているという「何千人のうちの数人」のひとりの貴重な社員が、セミナーに登壇していました。
その方は、親の介護のために田舎へ帰っている40代くらいの女性社員でした
その社員がセミナーの中で話していたことが、何故か今でも鮮明に残っています。
私の社用携帯に掛けてくる方はみんな
『●●さん在宅勤務なのに、電話しちゃってごめんなさい』って言うんです。
でも、在宅勤務は休みじゃないです。
業務時間内なので、電話に対応することは当然です。
みなさん、もっと普通に連絡してくださいね!
これを聞いて、当時の私は
そうは言うものの…
やっぱり在宅勤務中の人に電話掛けるのは申し訳ない…
こう思いました。
もちろん「介護のために在宅勤務」という働き方を選択していたからといって、業務時間中に介護をしているわけではありません。業務時間中は業務をする。業務の電話があったら、それに対応する。
これは至極当たり前の事なのに、当時の私は何故か「在宅勤務中の人に何かをお願いするのは申し訳ない…」と思ってしまっていたのです。
この時、なぜこう思ってしまったのか、自分の中で腹落ちできずにずっとモヤモヤしていました。
「在宅勤務=福利厚生」という潜在意識
このモヤモヤの正体に気が付けたのは、転職して営業の仕事をするようになってからです。
転職先は某IT企業で、私はあるクラウドサービスのコンサルティング営業をしています。
クラウドサービスなので、「どこからでも必要な情報にアクセスできるので、オフィスと社外の情報格差をなくせます」というような売り文句を使うことが多かったです。
しかし、この台詞に対して、けっこうな数のお客様からこんな回答が。
いやいや、うちの社員は基本出社しているので、情報格差なんてできませんよ!
うちで在宅勤務をしているのは、介護とか育児をしている人だけだからね。
そのためだけにクラウドサービスに投資をするのは、ちょっと…
さすがにコロナ禍になってからはこういう回答をされることはなくなりましたが、2019年頃まではこのように言われることが本当に多かったです。
そして、それに対して
まあ確かに、そうかもな…
と思ってしまっていたのも事実です。
そして、こういった顧客とのやりとりを通じて、7年前「在宅勤務の人に業務の電話を掛けるのは申し訳ない」と感じてしまったのは、
在宅勤務は「何か特別な事情がある人がするもの」という感覚が、
潜在的に自分の中にもあったのか…!
と気が付かされました。
特別な事情とは、
- 介護
- 育児
- けがや病気
など。
つまり、「本当は出社して働くべきだけども、介護や育児、けがや病気など『特別な事情』があるから出社ができない人」だけが、在宅勤務をすることができるのだ。
在宅勤務は、『特別な事情』がある人向けの福利厚生なのだ、と。
恐ろしいことに、私はこの感覚を、つい最近まで持ってしまっていました…
今ではすっかり「在宅勤務」は「BCP対策」に
2020年に世界中を襲った、コロナショック。
日本では「2020のオリンピックに向けて、混雑緩和のためにみんなテレワークをしよう!」と言っていたのになかなか推進されなかったテレワーク。皮肉なことに、コロナショックによってあっという間に普及しました。
在宅勤務が福利厚生だったのは、今や昔の話です。
今は、在宅勤務できる環境を整備することは、企業のBCP対策そのものです。
コロナのような感染症の流行、悪天候、災害など、「社員が出社できなくなってしまう」事態は、いくらでも想定されます。それでも働き続けられる環境を整えるのは、企業に求められる責任だと思います。
最近では、首都圏の電車では悪天候が見込まれる場合事前に計画運休を発表しています。
けど、少し前までは台風の日でも電車に乗って通勤するのが当たり前でした。
このように、どんどん「当たり前」が変わってきているのを感じます。
今はもうさすがに「在宅勤務中に電話掛けちゃって、ごめんなさい」という人はいないと思います。
介護や育児などの事情が無くても、自由に働き方を選べる。
在宅勤務を選んだとしても、誰もが負い目を感じない。周囲に「申し訳ない」と思わない。
そんな風潮がもっと定着すると良いなぁ、と思います。
私が働き始めた数年の間でさえも、
「当たり前」が、ちょっとずつ変わっているのを感じるなぁ…
と思う、今日この頃です。